深海魚

花びらに埋もれてこのまま 死んでもいいと思った

「グレイト・ギャツビー」観劇してきました。

内博貴主演「グレイト・ギャツビー」京都公演を観劇しました。

 

今回は7/15、7/16マチソワ公演の3回それぞれを左右には上手・センターブロック・下手、前後には一階席2列目・二階席・一階席の中央と敢えて多くの角度や距離感で観劇できるかを重視して座席を選びました。


予習をせずに観劇したので、ミュージカル「グレイト・ギャツビー」の知識のみで勝手に語っていきます。(ディカプリオ版の予告は見ました。今回はこの映画を中心に再構成したようなので、またレンタルしにいきたいと思います。)

 

 

 

以下、ネタバレ有り感想文

 

・懐かしさ
そこはかとなく漂うオダサクの雰囲気。

「ザ・オダサク」は内博貴主演、再演の際には今回と同様にヒロインを愛原実花が演じ、コング桑田氏も助演していた。

何より、演出の錦織さんと音楽の岸田さん、スタッフが同じメンバーなのである。

舞台を戦時〜戦後の日本から1922年の夏のニューヨークに移し、「グレイト・ギャツビー」は上演された。

ここで私が感じたのは錦織演出独特の小笑いを挿入するところ。(演劇ファンとしては好みが分かれるところではある)*1

そして、岸田さんの音楽で、主要な役者にテーマソングを持たせるところ、それを変化させつつリプライズさせるところである。

その懐かしさが、このグレイト・ギャツビーチーム全体のアットホーム感を築いていたようにも思う。
(「運命のルーレット」とてもオダサクっぽかったと思ったのは私だけでしょうか…?笑)

 

1920年代のアメリカ
「グレイト・ギャツビー」は単に偽りの地位で成金になったギャツビーが没落する話ではない。その背景には、アメリカが抱える人種差別、貧富の差、歪んだ社会構成が存在し、それらが物語を支配していくのだ。
これは物語の根幹を成す部分であると私は思うのだが、これがとても丁寧に描写されていた。それは、物語序盤から徐々に種を蒔き、クライマックスにそれが花となるような感覚になりました。


例えば、
*ニックがベイカーに初対面したシーン、ニックから実家の仕事を聞かれて黙り、話をそらす。ベイカーはやけにニックに積極的だった。(これらはベイカーのhungryに帰結する。)


*トムは非常に白人主義であり、黒人や労働者階級といった人を差別し卑下する。「ホワイトアメリカ」の後にベイカーにボールを持ってくるのが黒人。(これは後から演出で加わったものらしい。byトークショー) トムは差別意識が強い分、ギャツビーが東の生まれだと気づく。

 

このような意識下での動きが、後の歌に繋がり、見る度に新しい発見を生み、興味深いところでありました。

 

・疑問点

 

ギャツビーは悪人だったのか?
座長のファンなので、主にギャツビーを中心に見ていたのですが、そうなると心情変化が気になります。
謎に包まれたギャツビーはやがてトムに化けの皮を剥がされ、東の農民生まれだと言われる。成り上がっても、結局は元からの金持ちに見下される。これはある種の絶望を意味しますよね。
私が気になったのは、「お金はお金。汚く稼いだお金を綺麗に使って何が悪い!」というギャツビーの台詞。実際にギャツビーは稼いだお金で実家に仕送りをしていたのだ。
ギャツビーは異常なまでにデイジーに執着していたが、デイジーがギャツビーを振ったのにも関わらず、轢き逃げを起こしたデイジーを庇いデイジーを愛する姿には同情、憐れみという言葉が当てはまるでしょう。
ギャツビーのやってきたことは悪だったのかもしれないが、結局は彼は善人だったのではないか? SHOCKでいうウチにも似た善人の歪みを覚えました。

 

 

・素敵なキャストさん

最初から最後まで出ずっぱり。そして出番だけでなく歌も台詞も多い!この人無しでは今回の舞台は成し得なかったでしょう。この物語における「良心」のニックを爽やかに演じられていました。歌で語るシーンの声が聞き取りやすく安定していて、ニックのお陰で物語を掴むことができました。

 

オダサクぶりの実花さん。可愛らしい方だなぁと思って毎回見ていました。今回、強いオンナが沢山いる中で、翻弄される女の子の弱さみたいなものも感じました。

ミュージカル初挑戦だそうで。ダンディな演技と低音ボイス、よかったです。トムは当時のアメリカの正義を体現する人物だったのかもなぁ、と思ったりしています。内くんととっつーと高田くんを焼肉ご馳走していただいたそうでうちの子達がお世話になりました…(誰目線w)

 

  • 大湖せしるさん

ベイカーはごめんね青春!の蜂矢先生とホラン千秋を足して2で割った感じだなぁってずっと思ってました(どうでもいい)
せしるさんは喉の調子が悪かったようで、京都公演で始めて「hungry」を歌われたそうで。以前の演出は分かりませんが、ベイカーの意外な一面をあの場面で魅せるのか!って感じで面白かったです。

 

  • 高田翔くん

志田ちゃん。今回はまさかウエディングケーキに突っ込まないよね?*2とか思っててすみませんでした。労働者階級のミカエルのジャジーなソロがとても良い歌声でした。サックスは吹きまねなのだろうか。

 

  • コングさん

マスコットキャラクターですよね完全にw
そして最後のまさかの。存在感が凄いです。一気に引き込まれる演技をされる方です。

 

めっっちゃ歌がうまい!!声量がすごくて圧倒されました。

 

  • 木村花代さん

トムの愛人のマートルは裕福な暮らしに夢を見ていた。成り上がることを生き甲斐にしていた。しかしギャツビーは成り上がってもまた、貧しい血が流れているとトムに卑下される。救いようがない…。マートルの存在がこの物語を一層悲劇にするのだと思います。

 

  • 岸田さん

ギャツビーのお父さん、なんか聞き憶えのある人の声だぞ…?って思ったら岸田さんでした。(ああ!デカダンスの扉のyoutube音源の人の声!笑) 

内くんとのデュエットは素晴らしくて、あのワンシーンだけなのが勿体無いくらい。個人的に感動したのが、父が置いた帽子を亡くなったギャツビーの幻影がそれを拾って被って捌けるんですね。すれ違ったまま引き裂かれた親子の中の絆を見たような気がしました。

 

とにかく美しかった。存在感だけで演技ができるようになったのだなぁ、ということにただただ驚いた。そして、歌の声質が今まで聴いてきたものと違っていたんです。声楽には疎いのですが、口腔内で響かせて歌っているような感じでした。数年前と格段に成長していて、彼がこの舞台を「20代最後の舞台」と雑誌で語っていたのに相応しい20代の今までの活動の集大成だったのではないかなと思います。歌だけでなく、SHOCKで鍛えたダンスのキレ、数々の主演舞台で培った座長としての振る舞い、舞台で「魅せる」演技すべてをとっても、良かったと思います。
そして最後の軍服かっこよすぎです…あれは反則……。衣装がスーツやタキシードなどそれだけでも眼福なのに軍服まで着せてくれるギャツビー最高かよ…!

 

 

 

つぎはギャツビー再演ですかね?個人的には私の人生を狂わせていただいたオダサクももう一度見たいのですが(ここ最近のインタビューで内くんのオダサク愛のあまりの強さに驚いた)
30代になって、もっとミュージカル俳優として大成していく内博貴を見届けていきたいと思います。

*1:「100人のうち1人が笑えばいいんだ。(=ウケすぎてもいけない)」【@7/16夜公演トークショー】と錦織さんは仰られていたそうだ。全ての人に好まれる演出と反対の方向へ敢えてシフトしているのではないか。

*2:天国の恋